用語解説
国際リニアコライダー
International Linear Colliderという次世代の衝突型加速器で、ILCの略称で呼ばれることが多い。次世代型のいわれは、衝突時のエネルギーを高めるため、円形型の限界を超えるため直線型にしたことによる。 円形の加速器の場合は、電子の軌道を円形に曲げる時のエネルギー損失が大きく、目標とするエネルギーに達することが出来ないので、初めて大型の直線型加速器を建設することになった。ILCは直線型加速器である。
CERN
欧州原子核研究機構のことでスイスのジュネーブ郊外にあり、フランス国境近くにある世界最大規模の素粒子物理の研究所である。 ここにはLHC加速器があり、CERNの略称は設立準備組織のConseil Europeen pour la Recherche Nucleaireの頭文字に由来する。
ヒッグス粒子
ヒッグス粒子は、物理学の標準理論に登場する18種類の素粒子の中で唯一未発見の素粒子であった。 他の素粒子と相互作用し、その粒子の質量数を決めていると考えられ、特別な存在として「神の粒子」と例えられれることもある。 ヒッグス粒子自身の質量や性質、光子(質量ゼロ)とは相互作用しない理由など、解明すべきことが多い。
LHC
Large Hadron Colliderの略称。ハドロンとは内部構造を持つ粒子のことで、円周27kmという大型の衝突加速器である。 LHCでは、3つのクオークの結合により成り立っている「陽子」同士を衝突させて実験を行っている
基準設計書
ILCの実験装置、装置類を格納するためのトンネル構造、-271℃まで冷やすための冷却装置や重要な設備の建設の基準となるもの。 研究者で構成される国際共同設計チームから2012年末までに示される。
概略設計書
建設候補地の地形や各種データに基づいて、実際の建設を想定して作られる設計書。 ILC計画を遂行するための主要な構造や基本的な部分が基準を満たすか検討するためのもの。
ビッグバン
宇宙誕生の直後に起きたとされる爆発的な膨張により、現在の宇宙が形成されたという宇宙論(Big Bang)。 ILCにより遡るのは、宇宙誕生後の1兆分の1秒後の状態であり、この時点ではビッグバンは既に終了している。 しかし、まだ高温(超高エネルギー)状態を保っているので素粒子どうしがぶつかって消滅したり、高エネルギーから素粒子が物質・反物質対で発生するという状態が続いていたと考えられている。 ILCでは、この状態を再現して高エネルギーで出現する素粒子の測定を試みる。
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